継続賃料とは⑤

こんにちは!

横浜の走る不動産鑑定士です!

さて、今回は「支払賃料」と「実質賃料」という二つの賃料の考え方についてご説明させていただきます。

まず「支払賃料」ですが、これはわかりやすいと思います。テナント様が毎月オーナー様に支払っている月額の支払い分の賃料のことを指します。

しかし、賃料というものの価値を考える場合には支払賃料のみで考えるべきではありません。ここで「実質賃料」という考え方が出てきます。

賃貸借契約を締結する際、通常は

・敷金・保証金といった「預り金的性格」の一時金

・礼金・権利金といった「賃料の前払的性格」の一時金

これらを考慮する必要があります。

預り金的性格とは、まさに将来テナントへ返還する(原状回復に要した金額を控除した残債を)ことを前提に預かっている金額です。そのため、賃貸期間にオーナーは運用することを想定した「運用益」を考慮します。

賃料の前払い金的性格とは、将来テナントへの返還を要せずオーナーの手元に残る一時金です。そのため、賃貸期間にオーナーが元本を償却しつつ、かつ運用することを想定した「運用益及び償却額」を考慮します。

具体的には・・・ですが、以下の例を用いてご説明したいと思います。

この二つのテナントを例にとりますが、月額支払賃料だけならテナントBの方が高いです。一方、保証金・権利金はいずれもテナントAの方が高く設定されています。

実質賃料を査定するにあたって、いくつか前提条件を置きます。

・まず、契約期間は2年。

・テナントの平均回転期間(この物件であれば、周辺の地域性・市場動向等を加味して、平均でテナントが何年ぐらいで入れ替わるかという予測期間)を10年。

・運用益を計算するための運用利回りを年率1%。

・平均回転期間10年、運用利回り1%で運用する場合の年賦償還率(元本を均等に償還して運用する場合に計算する率)は0.1056。これは少し理解が難しいかもしれませんが、イメージとしては1の元本を10年間で割れば0.1ですから、0.056の部分が運用益に該当すると考えていただければよいかと思います。

このような条件のもと、それぞれ計算します。

計算式としては、「月額支払賃料 + 保証金の運用益 + 権利金の運用益及び償却額」なので、

・テナントAの実質賃料  1,000,000円 +(6,000,000円×1.0%)+(2,000,000円×0.1056)= 1,271,200円

・テナントBの実質賃料  1,200,000円 +(5,000,000円×1.0%)+(0円×0.1056)= 1,250,000円

結果は上記のとおりで、実質賃料ベースではテナントAが上回ります。

これを理解していないと、賃料のもつ本来の価値は把握できません。

今日は本題はここまでとさせていただきます!また次回(^^

※今日も余談ですが・・・

仕事関係でスピード写真が必要になり、撮影し始めた途端、どうしても急ぎの要件の電話が来て、「あとで折り返します」と言おうとしたら、うっかり撮影ボタンを押してしまい、一瞬慌てる悲しい中年の姿。

撮影一枚目だから焦ったけど、撮り直しが出来て良かった!

左の写真、表情とポーズが、あのあおり運転の犯人みたいで切ないぜ。