令和4年度相続税路線価

こんにちは!

神奈川県横浜市の走る不動産鑑定士です!

去る7月1日に、国税庁より令和4年度相続税路線価が公表されました。

例年通り、これについて書かせて頂こうと思います。

まず、「相続税路線価」とは何かというご説明からですが、

相続税の申告の際、相続税が課税される対象になる土地の財産価格を計算する基準となる価格(単価)で、道路毎に路線価が付けられています。

毎年国税庁より任命された不動産鑑定士が各エリア毎に10~15人程度のグループを組み、地価動向等について検討を重ね、1月1日時点の路線価が決定されます。

(私は現在、横須賀市エリアの担当に任命されております)

路線価は概ね近隣の地価公示価格、80%程度の水準に設定されております。

次に神奈川県全般の動向ですが、平均で前年比0.6%上昇いたしました。上昇は2年ぶりとなります。新型コロナウイルス禍の影響で前年は下落となっていましたが、感染状況が改善し、人流回復などの期待から上昇に転じる地点が多くなりました。

各税務署管内の最高路線価の上位5地点については以下のとおりです。

※令和4年の神奈川県内各税務署管内の最高路線価(1平方メートルあたり)

税務署名所在地路線価 (千円)上昇率 (%)
神奈川 (昨年度1位)横浜市神奈川区鶴屋町2 (市道高島台107号線=鶴屋橋北側)3,1006.2 (前年7.0)
川崎南 (昨年度4位)川崎市川崎区駅前本町 (川崎駅東口広場)5,2005.9 (前年2.3)
厚木 (昨年度3位)厚木市中町2 (本厚木駅北口広場通り)9004.7 (前年4.7)
鶴見 (昨年度5位)横浜市鶴見区鶴見中央1 (鶴見駅東口広場)1,1803.5 (前年1.8)
保土ヶ谷 (昨年度5位)横浜市旭区二俣川2 (二俣川駅南口駅前通り)5903.5 (前年1.8)

※各税務署の管轄毎の最高路線価という性質上、話題が商業地に限定されてしまう点をご了承下さい。

上昇率で県内トップに立ったのは、前年に引き続き横浜駅周辺の「鶴屋橋北側」で+6.0%。

JR横浜タワーからデッキで直結する「鶴屋町ビル」が一昨年6月に開業されて以来、引き続き好調で、「横浜の顔」として高いステータス性を維持していることが地価にも反映されています。

しかし一昨年のプラス25.2%、昨年のプラス6.2%と比較すれば上昇率は徐々に鈍化しております。駅周辺の大型施設の開発がひと段落して影響が落ち着いてきたという印象でしょうか。

2位は前年4位であった「川崎駅東口広場通り」でプラス5.9%。川崎駅周辺は昨年の「JR川崎タワー」を中心とした再開発も進み、ますます繁華性が高まっております。

上昇率3位は、「本厚木駅北口広場通り」でプラス4.7%。

近年、上位は横浜市・川崎市が独占していましたが、「2021年 LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング(首都圏版)」において、本厚木駅は「借りて住みたい街」:第1位・「買って住みたい街」:第3位にランクインされております。

新型コロナウィルス感染症の影響によりテレワーク需要が高まった結果であり、今後もこの動きは当面持続するものと予測されます。

全般的な傾向としては県内で昨年4か所あった下落地点が今年は0か所となりました。

横浜・川崎・相模原の政令指定都市内のエリアは概ね上昇傾向で上昇率も拡大した地点が多いです。

また昨年の下落地点のうち「戸塚駅西口駅前通り」「鎌倉駅東口駅前通り」「藤沢駅南口広場通り」は上昇に転じ、「横須賀中央駅前通り」はプラスマイナス0%。一方、「海老名駅東口駅前通り」は前年がプラス1.3%でしたが今年はプラスマイナス0%となりました。「平塚駅北口広場通り」「小田原駅東口広場通り」は前年に引き続きプラスマイナス0%で推移。上記の本厚木駅北口広場通りも含め、これらのエリアは横浜や川崎の中心エリアからやや離れた場所にあり、テレワークによる需要が見込まれる地域ですが地価の動向から需要の強さにやや地域差が生じていることが伺えます。

この1~2年ほどで新たな土地取引需要に関する動きも出てきており、さらに新型コロナウィルスも完全に終息を見ないという難しい状況にあります。

引き続き、この一年間の動きを注視し、また来年コメントさせていただければと思います。