継続賃料とは⑦

こんにちは!

横浜の走る不動産鑑定士です!

さて・・・すっかり前回から10日ぶりになってしまいました。やる気がないわけではないですからね。
ゆっくりマイペースで行きましょう♪

さて、今回は確か「直近合意時点」のお話でしたね(と若干うろ覚え)。

直近合意時点とは、

「最終的に今の賃料で借主・貸主が合意し、改定した時点」

のことを言います。
・・・・ずばり言い切ってしまった!
・・・しかしこれ一言で終わってしまうと話が終わりなので、もう少し掘り下げたお話を書きます。

継続賃料の評価とは、原則として直近合意時点から価格時点までの事情変更を考慮するものであり、直近時点とは事情変更を考慮する起点となるものです。なので、下記の場合は一般に直近合意時点の確定としては妥当でないと判断されるケースです。
(なるべく簡潔にまとめてみましたが、伝わりますでしょうか??)



ア.賃料自動改定特約があり自動的に賃料改定がされている場合に、当該自動的に賃料が改定された時点を直近合意時点としている場合  
この場合は、賃料自動改訂特約の設定を行った契約が適用された時点を直近合意時点とすべきである。

イ.賃料改定等の現実の合意がないまま契約を更新している場合に、当該契約を更新した時点を直近合意時点としている場合  
この場合は、本来は現実の合意があった最初の契約締結した賃料が適用された時点を直近合意時点とすべきである。

ウ.経済事情の変動等を考慮して賃貸借当事者が賃料改定しないことを現実に合意し、賃料が横ばいの場合に、当該横ばいの賃料を最初に合意した時点にさかのぼって直近合意時点としている場合
本来は、賃料を改定しないことを合意した約定が適用された時点とすべきである。

上記のように、賃料自動改訂特約がある場合の直近合意時点の確定に関する判例として、平成20年2月29日の最高裁判例は、賃料自動改訂特約によって増額された賃料は、契約締結時の将来の経済事情等の予測に基づくものであり、改定時において現実に合意された賃料ではないから、直近合意時点とはならないとし、事情変更の起点となる時点は、賃料自動改訂特約を合意した時点としている。 

このように、賃料増減請求について判断する際には、契約当事者間で現実に合意した時点(合意時点と合意した賃料が適用された時点に乖離がある場合は合意した賃料が適用された時点)となる。


少し難しいお話でしたが・・・少し理解いただけたでしょうか?
裁判になると、原告と被告で直近合意時点の解釈が分かれていたりしますので、不動産鑑定士として適切に助言をさせて頂く場合もございます。


こんな小難しいお話をしましたが、次回からいよいろ具体的な手法の説明に入りますので、引き続きよろしくお願いします!

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