相続税路線価が公表されました

こんにちは!
横浜の走る不動産鑑定士です!

さて、
昨日の7月1日に平成31年(毎年1月1日時点の価格のため、平成31年と
表記させていただきます)相続税路線価が公表されました。

土地の価格を表す指標としては、
・地価公示・地価調査価格
・相続税路線価
・固定資産税路線価
・実勢価格(=不動産鑑定評価額)

と4つがあり、いわゆる「一物四価」とも言われています。

その一つである相続税路線価は、相続税・贈与税の税額計算で、財産としての土地価
格を決めるために使われる指標です。
通常、土地の売買では個別に相対で価格が決められ、相続税・贈与税の計算に使う土
地の価格に関しても個別に時価を求めることが原則です。

しかし、多くの納税者同士で公平になるように、一定のルールとして路線価に基づく
価格の計算方法が定められています。具体的には、それぞれの道路に「相続税路線価」
という、1平方メートル当たりの値段が付されております(地域や道路の種類によっ
て路線価が敷設されていない道路もあります)。相続税路線価を基に、「財産評価基
準書」という、細かいルールブックに従い価格を計算いたします。
※財産評価基準書は国税庁のホームページより閲覧可能です。

各年度の相続税路線価を決定するにあたってのプロセスですが、
まず各管轄の税務署より委嘱された不動産鑑定士が、各地区毎に10人程度のグル
ープを組み、地価動向等についての協議を重ねます。

協議の結果に基づき、各地区内に定められたいくつかの地点の鑑定評価額を算出し、
その鑑定評価額を踏まえ、鑑定士の意見を参考にしながら周辺の路線価を国税庁が
決定する流れとなっております。
この一連の作業を毎年9月~翌年の2月上旬に行い、路線価が決定され、毎年7月
初旬に公表いたします。

路線価の価格水準は、毎年1月1日時点の価格として国土交通省が公表する地価公示
価格、及び毎年7月1日時点の価格として各都道府県が公表する地価調査価格、この
両者の80%程度を目安に設定されています(地価公示価格・地価調査価格のことを
総称し、以下「地価公示等価格」と言います)。
なお、路線価には固定資産税路線価というものもあり、こちらは各市区町村が土地所
有者に対し、固定資産税を課す際の基準となる土地価格算出のための路線価になりま
す。おおよそ地価公示等価格の70%程度を目安に設定されています。

まとめると、
「地価公示等価格」×80%≒「相続税路線価」
「地価公示等価格」×70%≒「固定資産税路線価」
という関係になります。

では、両路線価のベースとなる地価公示等価格がいわゆる「実勢価格」の水準に近いか
といえば、必ずしもそうではありません。

特に都心では、実勢価格が公示価格を大きく上回っているケースも多く、
「この地域の相場は公示価格の1.5倍」「路線価の2倍程度」などの言葉が不動産関
係者の間ではよく使われます。

地価公示等価格は相続税・贈与税・固定資産税を定めるための基準となるため、急激な
税金の変動は、課税主体・納税者に過大な負担を強いかねないことから実際の地価の変
動より若干緩やかになっている傾向があります。バブル期等に都心で地価の急騰した際、
徐々に実態と離れてしまったこと等の影響から、相続税路線価も全般的には都心におい
て実勢価格よりも低い水準となっています。

もしご自身の自宅周辺の土地相場がいくらかお知りになりたいときは、路線価の何倍程
度が標準なのかを知ることが大事となります。
近隣の不動産業者さんで教えてもらうか、もしくは物件仲介のサイトで土地価格を見る
ことで、ご自身でも大雑把に把握できると思います。

なお、一物四価のうち実勢価格以外に関しては、以下のサイトでまとめて閲覧可能です
ので、ご参照ください。

※全国地価マップ
https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216