山林の売買の際の注意点

こんにちは!

神奈川県横浜市の走る不動産鑑定士です!

日本の国土の7割を占める山林。

ここ数年、取引が活発化しています。

今までは山林といえば、林業目的や公共施設の建設目的での取引以外ほぼありませんでした。

しかし、最近は個人の方の購入が急増しています。目的はキャンプ利用のため。

近年のアウトドアブームに加え、コロナ渦により野外志向が強まっているものの、キャンプ場も人が増えたためプライベートな空間として山林の購入を検討される。そんな需要が高まっています。

私も不動産鑑定士として、地方・郊外の山の評価のご依頼を多くいただいてまいりました。

また、当社では不動産仲介業務を行っております。

このような観点より、今回は個人の方の購入を前提として、いくつか簡単なメリット・デメリットを書いてみたいと思います。

【メリット】

  • 購入金額が安い

山林であれば1,000坪という広大な土地でも100万円程度などという売買価格はザラです。

売主も本業の林業がうまくいかなくなった方や、あるいは先代から相続し「なんでこんな土地を所有していたんだろう?」と所有していることすら自覚していないことも多く、処分に困り安くても手放したいと考えるのが一般的です。

取引価格に関しては、山林の取引サイトがいくつかありますのでご参照ください。

  • 税金も安い

固定資産税も地目が「山林」のため、一般的な宅地と比較すればかなり安いです。

また、固定資産評価額が30万円以下であれば固定資産税は課税されないため、評価額の低い山林に関しては課税ゼロ円の可能性も考えられます。

【デメリット】

  • 境界や道路がどこだかわからない

基本的に、山林は境界がどこなのか判然としないことが多いです。法務局で取得した公図だけではほぼ確定できません。地籍調査(地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査)が行われていない山林は多いです。地籍調査が行われていない場合、登記簿数量も実際と大きく異なる可能性があります。

さらに境界確定に関しては大半が行われていないと考えられます。境界確定をするために隣接地の方に立ち合いを願おうとしても、その隣接地所有者が誰だかわからないことが多いのも山林の特徴です。購入するのであれば、最低限地籍調査が完了している山林が望ましいと考えます。

上記に加え、山林に至るまでの道路がどこかを確認しておかないと勝手に他人の敷地内を通行していることになり、トラブルの原因となりかねません。

我々も評価の際、このあたりの調査には頭を悩ませることも多いです。

  • 自由に使えるわけではない

自分の敷地内だからといって、建物を自由に建てられる訳ではありません。市街化調整区域内にある山林も多く、原則として建物建築が不可な区域です。

また、市街化区域内であっても建築基準法上の道路に面していないと建物建築はできません。

そのため、気軽に小屋やログハウスを建築しようとすると注意が必要です。

  • 管理が大変

山林の多くは傾斜地で、購入時には草木が生い茂っていることが多いです。年に数度しか利用しなくなると、まず草むしりで膨大な時間がかかってします・・・・などという事態に陥りかねません。大雨や台風などで斜面が崩れてしまうことも考えられます。

  • 規制・制限が多い

山林の場合、流木が地域森林計画対象や保安林に指定されている場合があります。特に保安林に指定されていると、伐採等に関して強い制限がかかります。日本の森林面積の約半分は保安林に指定されているそうです。また鳥獣保護区や土砂災害警戒区域等に該当するか否かなども調べておく必要があります。

市区町村役場や森林組合等で事前に調査しておかないと、自分が思い描いていた利用方法ができないという問題が生じかねません。

現在はキャンプブーム等で山林の購入を検討される方が多いですが、いつまでブームが持続するのか分からないですし、安易に購入し、「あまり使わなくなったから売却しよう」と考えた際に、果たして処分ができるのかどうかは予測が難しいです。

ぜひ上記の点を参考に、慎重に判断されてください。